あとがたり「かみおろし」編

イベントお疲れ様でした。通販でも新刊をお手に取って頂き、ありがたい限りです。
今回初めてお題箱のQRコードなぞを巻末に付けてみたので、感想なり感想以外なり投書してくれたら咽び泣いて喜びますのでよろしくお願い致します。

そしてたまにはもっと本文に突っ込んだあとがきでも書こうかなと思い、ブログに向き合っています。
新刊「かみおろし」について書きます。ネタバレ有りです。

 

かみおろし


 
■沖縄のユタ
沖縄にはユタと呼ばれる、先祖の霊の声を聴くことが出来る霊媒師的な方がいるのだそう。デリケートな話なので、詳しく知りたい方は私の説明を鵜呑みにせず、自分で調べてください。
私はとある舞台でその存在を知ったのだけれど、時折母親の声を聴く神原駿河ってそれっぽいなーと思いちょっとだけ意識して書きました。彼女のそれは阿良々木先輩が作った鏡の国の後遺症だというのは、続終物語で解説された通りなのですが、元来そういう才覚を持っていても面白いのではないかともよく考えます。この解釈の幅こそが二次創作の有利な点であり、狡い点でもありますね。
同じく臥煙の血を引いている迂路子ちゃんにも、ママと通じ合っているように見える描写があることからも、私はこのユタを連想しました。
もしもこの「かみおろし」に原作に沿った副題を付けるなら、その舞台になぞって「するがフリムン」となります。

 
■カップリング
この記事でも触れたように、表面上はカップリングがない本ではあるのですが、誰がなんと言おうとこれはなでうろこ(撫子ちゃん×迂路子ちゃん)の話だ! と思って書いていました。
でも、出来上がった頃には迂路子ちゃんと神原の組み合わせって良いな……という思いでいっぱいになっていた。自分の書いた話でこんな気持ちになるのも珍しい。

 
■扇くんのファンブル
TRPGに例えた本作で、扇くんがダイスロールに失敗(48p辺り)したようにリタイアするシーンがあります。ここの駿河先輩と扇くんのやりとりは、するがモンキーの阿良々木くんと忍野さんのやりとりをイメージしながら書きました。「世話かけるな」「いいよ」のやつね。
メメラギの中でもかなり印象深いシーンとも言えるそれで、あの信頼関係がただただ羨ましいと思っての連想でしたが、ポジション的に神原と阿良々木先輩、扇くんと忍野さんが対応するのは、意図的でなかったにせよちょっと面白いかも。

 
■臥煙の血
死物語発売前、臥煙伊豆湖さんに子供がいるという情報、かつ臥煙家は化け物作りの家系と言われていることから「神原駿河は本当に人間だよな?」と結構本気で心配していたのですが、心配には及ばず安心しました。でも猿の手しかり扇くんしかり化け物を産んでることは産んでるので、その血自体は生きているのかもしれない。
今回の話は、上記のような妄想を前提とした「化け物を産ませるのに失敗した話」とも言えるか。デリバリールーム風に言えば流産の話……とまで言うのは流石に突き抜け過ぎかな。

 
■「気付けない側の人」
猫物語白を読む度に思う「どうして羽川さんは神原にここまで砂かけするんだろう……?」という感想は、今までもそしてこれからも考え続けるであろう疑問なのですが、しかし神原も欲しい言葉を欲しいように掛けられるようなタイプでもないしな……。という回答を得て書いたのがこの話です。全てを語らないのはお互い様というやつだよ。
愚物語での扇くんの羽川さんへの敵愾心を前にした時の神原の感想や、結物語の阿良々木先輩から羽川さんの現状を受けての言葉から察するに、神原の方はなんだかんだ羽川さんという存在を糧にしているようにも見えるので、そういう側面を掘り下げた本もいつか出してみたいところ。そういうの、オタクはBLって名前の愛と呼ぶんですよ。

 
■「海岸沿いにて」
モデルにしたクラゲはミズクラゲ。クラゲを展示している水族館では結構ポピュラーな存在です。
私も一度だけ、この話の沼神のように岩場で目撃したことがあるのですが、後に水族館で見るのと全く印象が異なって驚いたという経験があります。というのも、水族館で見たものの方が生き生きして見えたから。クラゲに限らず、人の管理下でないと生きていけない生物は割といるって結構忘れがちです。というか、「生き生きしてる」というのは人間側から見た勝手な印象であって、人間から見て自然な展示方法で生かされている水族館でそんな感想を抱くのは当然で、海の中のクラゲにとっては知ったこっちゃない誤解かもしれません。
この話の沼地は足を壊していないですが、生きてコートの中に立つ彼女と、生きているつもりで日本全国を周る彼女。どっちが幸せなのかというのは誰にも分からないのでしょうね。

 
■「するがラクーンドッグ」
私は基本的に、原作に沿ったタイトルを付けないようにしています。付ける時も、英単語部分が既に使用されているもの(「するがウォーター」とか)、奇抜でよっぽどじゃないと採用されなさそうなもの(「おうぎベイプ」とか)を選ぶようにしているのですが、今回はどうしてもどうしてもどうしてもタイトルをそうせざるを得なかった。
内容は叙述トリックというやつに憧れて書きました。

 
■作業BGM
今回はなし。

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