あとがたり「ルームDの彼女たち」編

沼神の小説合同誌を作りました。2人分の小説と挿絵が4枚も収録されている豪華な本です。
2/12(日)イシンノセカイ8で頒布予定です。よろしくお願い致します。
頒布こそ私が担当しますが、4人で作った合同誌なのでもしご感想などありましたら92kaにではなくそれぞれに送って頂ければと思います。

ここでは自分用の備忘録として舞台裏の話をします。

 

 

 
■この本が皆様に一番伝えたいこと
西尾先生の著作「デリバリールーム」を読んでください!

 
■きっかけ
前々からあまのさんと本作りたい~! と92kaが口説いていたのだが、この度数年越しの願いが叶った。イシンで頒布したいことだけは決まっていて、だから企画段階では物語シリーズで作るかどうかは問わず候補に挙げたのだが、結局互いが書けるもの考慮しあった結果物語に。ただ、デリバリールームが好きな点だけは共通していたのでお題に挙げることを提案した。
結果としてすごく真面目な本が出来上がったので、とても居酒屋で焼き鳥食べながら企画した本だとは思えない。そこが気に入っている。

 
■挿絵
私とあまのさん、元々物語ジャンルでは別の方と二人サークルを組んでいるので、叶うなら挿絵を依頼したいですねという流れに。紆余曲折した末に、小説1編につき1人担当する形式ではなく、それぞれの小説に1枚ずつイラストを依頼するという豪華仕様となった。協力してくださったje8さん、ハマーさん、ありがとうございました。
92kaの分はハマーさんには原稿を渡して完全お任せ、je8さんには絶望先生のイメージとかどうですか? と提案した。非日常感の中に表情が生きててとても好き。
非日常感と言えば、小説の掲載順を決める時により日常に近いシチュエーションのお話を先頭にしようと判断したのは、今までになくて面白かった。

 
■表紙
挿絵を担当してくださる方が二人いるので、絵のイメージを固定しないようにデザイン表紙に決定する(という流れだった気がする)。
①二人でお題から単語を連想する、②単語を元に92kaがざっくりとイラスト素材を描く、③素材からあまのさんが表紙をデザイン、④92kaが清書、という過程で作製した。
これはここで初めて話すことだが、背景の塗りは見開きでハートにも胎児にも見えるように意識した。

 
■一人称
小説担当は互いの執筆が終わるまで原稿を交換しなかったため、なんの打ち合わせもしていないのに二人とも自然に沼地を語り手にしていたのが興味深かった。
92kaの方は、今回の神原を「何を考えているのか分からない怖い女」として捉えていたので沼地視点にした。未知のものに対する畏敬が神様っぽさだと思ったから。たった今気付いたことだが、花物語の『悪魔様』は神原駿河と読者に対して自分の経歴を殆ど説明してしまっているから対照的というか、俗っぽさが出ているし、そこに人を惹きつける力があるなとも思う。

 
■沼地の幸福
これは完全に自分のエゴだが、結婚して子供を育てて……という一種の幸せのモデルケースを沼地蠟花に一蹴して欲しいという思いがある。それはひとつの幸福の否定ではなく選択肢を増やすという意味合いで。
だからこそ、花物語で沼地は皮肉として神原に「結婚したり、子供を育てたり、親子喧嘩をしたり、そういう人間っぽいことをしてくれよ」とか言っちゃっていると私は解釈している。自身ではその人間っぽいことを出来なかったからと吐き捨てているが、しかし彼女が謳歌するモラトリアムこそ、社会で生きている(=群れの中で大人の個体にならなくてはならない)人間ならではの概念ではある……。
沼地についてのお話を執筆する際、彼女にとっての幸せを何とするかは毎回違うのだが(原作の解釈を狭めたくないから)、今回も本人が自覚していないものを大事にしているようだったので難しかった。

 
■作業BGM
Do you love me? (feat. Aiobahn) / NEEDY GIRL OVERDOSE
ノルニル / やくしまるえつこ
INTERNET ANGEL (feat. Aiobahn) / NEEDY GIRL OVERDOSE
熱愛発覚中 / 椎名林檎と中田ヤスタカ(CAPSULE)
ROCK OVER JAPAN / TRIPLE H
ニセモノの幸せだけど (feat. Aiobahn) / NEEDY GIRL OVERDOSE
My sweet baby / ONE OK ROCK

全体的に幸せって何? という問を投げかける元ネタが多い。

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