雑記(ラジオ編)

ラジオにお呼ばれされることになった。

#推しがたり とは同人サークル「Wing Score」のHashさんが主催しているラジオだ。物語シリーズで同人誌を出されている方をゲストにお迎えし、その人の推しの像を解剖していくという企画。聞き上手なHashさんがゲストさんの思想を引き出していく過程が非常に興味深く、001、002と通して聞かせて頂いていた。私も細々ながら本を作っていた身、そして好きな同人誌はあとがきまで舐めるように拝読するタイプの人間なので、自分の手元にある本の制作秘話や裏話を聞けるというのは否応なしにテンションが上がる。同人誌を作っている方からお話を聞くという経験自体はゼロではないのだが、インタビュアーが違うだけで違った印象になるから本当に嬉しい。他人の目線を借りれる贅沢な機会だった。

 

まあでもしかし、僭越ながらお呼ばれした今になって思う。好きを語るのって、超絶難しい。というか、好きなものに限らずものを語ることそのものにかなり高い技術を求められる。ただでさえ自分は結構な人見知りなので、すぐにディスコミュニケーションになってしまう。話すのが苦手な人が聞き上手かっていうと、全然そんなことはないので、すぐに場に沈黙を提供してしまうんだよコミュ障という奴は。ただ好きな人の前でそうなってしまうのは大変心苦しいので、日々頑張っている。これでも。

言葉というのは口に出した瞬間全てペテンになる、と貝木さんも仰っている。が、これは一種の免罪符にもなると私は思っていて、正確に伝えようとするから故に心との乖離が生まれてしまうこともあるだろうし、だったら最初から全てを伝えきれないことを前提に言葉を作るしかない、という考え方も出来ると思う。私は軽率に「わかる」を多用してしまうオタクだけれど、しかし実際、相手の意図や思想や理想を正確に汲めるケースの方が稀だと感じるので。

知っている人は知っているかもしれないが、私は相手の話に「わかる」が極まると握手を求めてしまうという悪癖がある……しかし、このご時世ではそうもいかないので辛い。日本語の限界を補うもっと上手い方法を見つけねばならない。

話を戻すと、とにかく自分は人と喋るのも人の話を聞くのも決して上手ではなくて、件の「わかる」もそれこそ花物語の副音声で扇くんが言っていたように、「分かり合えたような気になれた」というのが感覚としては近いのだろうし、私の中にある人の思想に触れて感動した体験の殆どがこれに当てはまるのだと思う。
だけど、多分それで十分というか、まるきり違う環境で育った人間と似た思想を抱ける方が奇跡的なので、そんな奇跡を期待しながら私は今日もTwitter を眺めるし、一人壁に向かって素振りをしている。

一方で、自分の言葉に自信がない分、他人が産んだ言葉を引用したくなるきらいがあると自負している。特に好きなものに関しては顕著なので正直恥ずかしいな、と思うこともある(今書きながら気付いたのだけれど、きっと自分で一からものを作れる人に憧れているから、出来なくて恥ずかしいと思うのでしょうね)。だけどそうして探して集めた言葉を改めて見返してみると、自分のセンスは決して嫌いではなくって、そういうナルシズムに支えられながら文章を書いているのかもね。

つまり何を言いたかったかというと、私はものを語るのが不得意なのに好きだからやめられないので、本は作りたいと思い続けてしまうし、今回音声配信という機会を頂けてものすごく浮足立っている。また、発表媒体が違うと出来ることも違うのではないかという期待もどこかにあるのかもしれない。

 

色々偏屈に書いてみたけど、Hashさんはすごいので当日きっと楽しいと思います。よろしくお願いします。

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